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● 蚤のワルツ 3

好評(?)の「蚤のワルツ」の話も 3 ページ目になりました.
私は別に「猫ふんじゃった」を研究している訳ではありませんし,最初から「猫ふんじゃった」についてこんなにいろいろ書こうと思っていた訳でもないのですが,どうもこの曲にはよく判らないことが多すぎます.

今回は「猫ふんじゃった」の各国語の名前を,私のできる範囲で(つまりお金のかからない方法でという意味ですが)検証してみました.
最初のページで Hans Sikorski 社の楽譜に載っている名前を紹介しましたが,Web で調べるとこの他にも多くの名前が判ります.しかし,そのまま同じことを書いてもあまり意味がありませんし,真偽も確かめないまま書くのは無責任だと思いましたので,以前は Hans Sikorski 社の楽譜に載っているものを紹介するに止めました.
今回は Web で調べたものも含め,その名前で公開されている楽譜や演奏(MIDI や MP3 など)が Web 上にあるか調べてみました.

たとえばどこかの国の人がこの曲の日本語の題名が『猫ふんじゃった』らしいということを知って,Web で日本語のページを検索してみたとします.(その人のコンピュータで日本語を表示できるかという問題はありますが...)その結果「猫ふんじゃった」の楽譜や演奏が見つかれば,確かに『猫ふんじゃった』という日本語が「猫ふんじゃった」の曲の題名であることを確認できるでしょう.
もちろん日本語のページに書いてあったからと言って,それを書いている人が必ずしも日本人または日本に精通した人である保証はありませんが,少なくとも日本語のページを書けるくらい日本語を知っている人がそう呼んでいるなら,一応その呼び名は日本語で一般的なものと考えてもいいだろうという考え方です.

その国の言葉が解らなくても,これを調べるのはそれ程難しくはありません.楽譜や MIDI,MP3 などのダウンロード サイトなどでは,題名と曲データが一覧になっていることが多いので,題名と曲の対応は明らかです.また,題名のテキストがリンクになっていてリンク先が楽譜や演奏であれば,その場合も対応は明らかです.もちろん楽譜そのものに題名が書いてあったり,演奏データの中に題名の情報が入っていれば自明です.

このような方法で調べた結果を以下に示します.各言語の題名について,ひとつでもその題名の楽譜や演奏が見つかったものは一応書いてあります.(訳は私が辞書で調べたものなので,信用してはいけません.)
(追記: 新たに見つかったものは随時追加しています.)
言語題 名
ドイツ語Flohwalzer蚤のワルツ
英語Chopsticksお箸
オランダ語Vlooienmars蚤のマーチ
ハンガリー語Szam?r indul?ロバのマーチ
ロシア語Собачий вальс犬のワルツ
フランス語Valse des Puces蚤のワルツ
スペイン語La Chocolateraチョコレート(飲料)を入れる容器
スペイン語Los Changuitos小さな猿
スペイン語Polka de los Perros犬のポルカ
デンマーク語Frikadellens flugt over plankev?rketミートボールが囲いを越えて逃げる
(この訳かなり怪しい)
フィンランド語Kissanpolkka猫のポルカ
スウェーデン語Kalle Johansson(人名)
スロヴァキア語Som?rsky pochodとんまのマーチ
韓国語猫の踊り
中国語泥棒のマーチ
中国語猫ふんじゃった
ご注意いただきたいのですが,この結果は各言語での呼び名を示したものであって,各国での呼び名ということではありません.ある言語がひとつの国でしか使われていない場合(日本語のように)は,その国での呼び名と考えてよいと思いますが,複数の国で使われている言語の場合,どの国での呼び名であるかまでは判りません.
ページの URL からそのページのあるサイトが存在する国を調べることはできますが,その国がそのページを書いた人の国とは限りませんので,それを考慮に入れるのは止めておきました.
ご参考までに書きますと,Web の情報によれば,フランス語の“Valse des Puces”はベルギー,スペイン語の“Los Changuitos”はメキシコ,スペイン語の“Polka de los Perros”はチリでの呼び名とのことでした.

英語の“Chopsticks”(お箸)については少し補足が必要です.
確かに「猫ふんじゃった」で“Chopsticks”という題名が書いてある曲はあったのですが,“Chopsticks”=「猫ふんじゃった」ではないのです.「猫ふんじゃった」の他にも“Chopsticks”という題名の曲がいくつか見つかりました.
もちろん複数の曲に同じ題名が付いているのはよくあることですが,見つかった曲のいくつかには次のような共通点がありました.
  • ピアノの曲である
  • 初心者向きの簡単な曲である
“Chopsticks”という名前は,初心者が二本の指でピアノを弾く手の形がお箸のようだということから付いたというようなことが書いてあるページがあります.その真偽は私には判りませんが,その説が正しいとするとこのことがよく説明できます.初心者が二本指で弾くような曲がいくつも“Chopsticks”と呼ばれていることになります.

私が子供の頃「サスケ」というアニメがありました.(突然何の話だ?)
「サスケ」という名の子供の忍者が主人公で,そのサスケが「猿飛の術」というのを使うのです.つまり「猿飛サスケ」です.
そのアニメで「猿飛」と呼ばれる忍者が何人も登場し,「猿飛」の秘密が語られる場面がありました.確かこのような意味のことを言っていました.(台詞は正確には憶えていない)
「『猿飛』とは人の名ではない.『猿飛』とは術の名だ.『猿飛』の術を使う者は皆『猿飛』なのだ.」
これを真似すると次のようになります.
「『お箸』とは曲の名ではない.『お箸』とは弾き方の名だ.『お箸』で弾く曲は皆『お箸』なのだ.」

〜 Intermezzo 〜

さて,上のことを調べていたら,また判らないことが出てきてしまいました.
「猫ふんじゃった」は別名“I love coffee, I love tea”と呼ばれている,と書いてあるページが複数ありました.(“The Manhattan Transfer”というボーカル グループ(あるいは,古くは“The Ink Spots”)の“Java Jive”という曲の歌詞が“I love coffee, I love tea 〜”ですが,その曲のことではありませんので誤解のないようにお願いします.)
調べてみたところ楽譜が見つかりましたが,それを見ると「猫ふんじゃった」ではありませんでした.しかし,「猫ふんじゃった」に似たところがあります.
「猫ふんじゃった」の最初の8小節(前にも書いたように,4/4で「(猫)ふんじゃった猫ふんじゃった猫」までを1小節と数えています.)の中の一部と少し似ているところがありますし,さらに「猫ふんじゃった」のある編曲の8小節以降の一部とよく似ているところがあります.

私は「猫ふんじゃった」のオリジナルと呼べるのは最初の8小節までだろうと思っていました.誰かが弾いているのを聴いても,ほとんどの場合そこまでしか弾きませんし,私の持っている楽譜でも最初の8小節は一致していますがその後は編曲によって異なっています.
ところが今回いろいろな「猫ふんじゃった」をかき集めたら,8小節以降の部分にもよく似たフレーズが出てくるものがありました.最初の8小節ほどポピュラーではないものの,もう少し長い部分が「猫ふんじゃった」として伝わっているのかも知れません.

そしてそのフレーズとよく似たところが“I love coffee, I love tea”にもありました.「猫ふんじゃった」と“I love coffee, I love tea”は何か関連があるのでしょうか?
もしかすると二つの曲のルーツは同じなのかも知れません.もし仮にそうだとすると,「猫ふんじゃった」を別名“I love coffee, I love tea”と書いてあるページもあながち間違いとも言えなくなります.
もちろん偶然似ているだけで,似ているが故に両者が混同された可能性もあります.

もし何かこの曲と「猫ふんじゃった」との関連が判ったときは,また書いてみようかと思います.

まだまだ続く?